Morpho Butterfly Rendering へようこそ!
中南米原産のモルフォ蝶は,美しい青色の翅を持ち,しばしばアマゾンの宝石とも呼ばれる.モルフォ蝶の青色は,その翅に備わったナノ構造によって生じる構造色である.構造色とは,リンゴの赤のような色素による色ではなく,微細構造の光学散乱・干渉によって生じる色である.ナノ構造における光学現象は,光の直進性と屈折を扱う幾何光学を用いて解析することができない.従って,構造色を再現するためには,厳密なナノ光学的解析が必要となる.
Fig. 1. モルフォ蝶のレンダリングプロセス: (a) モルフォ蝶の鱗粉構造. (b) シミュレーションモデル. (c) 解析結果より計算された双方向反射関数(BRDF) (θ = 入射角, φ = 反射角). (d) レンダリング結果.
このサイトでは,モルフォ蝶の光学特性をシミュレーションし,構造色をレンダリングする手法を紹介する.シミュレーションには,Finite-Difference Time-Domain (FDTD) 法を用いた.レンダリングまでの手順は,図1にまとめられる:(1) 電子顕微鏡写真から鱗粉構造のモデルを作成する,(2) FDTDシミュレーションを用いて近傍場の散乱を解析する,(3) 近傍-遠方変換と等色関数を用いて双方向反射関数(Bidirectional Reflectance Distribution Function, BRDF)を計算する,(4) CGをレンダリングする.この内容は,研究背景を含めて以下の4節で解説している.
- 研究背景と関連研究
- モルフォ蝶のナノ構造とモデリング
- FDTD法によるナノ光学特性の解析
- モルフォ蝶のレンダリング
解析結果は,実験データと比較することによって,妥当性を検証している.また,レンダリングしたCGアニメーションと実際のモルフォ蝶の動画を比較することにより,モルフォ蝶の構造色が再現できていることを確認した.上に示した動画は,本研究の最終的なCGアニメーションである.
論文
このサイトの研究内容は,下記の論文に掲載されている.
N. Okada, D. Zhu, D. Cai, J. B. Cole, M. Kambe, S. Kinoshita, "Rendering Morpho butterflies based on high accuracy nano-optical simulation," Journal of Optics, vol. 42, issue 1, pp. 25-36 (2013).
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