• 共感覚(synesthesia)とは
  • 景色に音を感じる 味に形を感じる
  • 共感覚とは1つの感覚刺激から、複数の知覚が無意識に引き起こされる知覚現象のこと。例えば 『文字に色が見える』 『味に形を感じる』 『音に色が見える』 など……
  • 共感覚は 『黄色い声』 や 『甘い匂い』 というような、複数種類の感覚を結びつける比喩表現や想像とはまったく違う。
  • 共感覚の例として、文字に色、音に色、味に形、痛みに色などが挙げられ、共感覚者の生起確率は2000人に1人、200人に1人などさまざまな論が存在している。
  • また、共通して圧倒的に女性に多いということが知られている。

  • 共感覚の例
  • 下図の 『A B C』 と 『12 13 14』 。 B と 13 は同じ形だが、アルファベットと数字という認識の違いにより、見る色がそれぞれに異なる!

  • 共感覚者の特徴
  • 共感覚は刺激なしに意志の力で意図的に発生させることは出来ず、当該刺激によって誘発される。
  • 誘発される感覚は心の中のイメージとして生じるのではなく、個人空間(体の回りの空間)で感じられる。
  • 共感覚者の感覚の結合は生涯続きます。つまり、Aの音に対しBの色を見るという対応関係は生涯に渡って変わらない。また、誘発される感覚は複雑なものではなく、しみ・線・渦巻きといった形、つるつるした・ざらざらした手触り、塩気や甘みなどの味など単純なパターンから成り具体性はない。
  • 共感覚はしばしば引き金となった刺激よりも強く記憶に残り、記憶の強化に繋がる。
  • 共感覚者は自分が知覚しているものが現実であるという確信を持っている。

  • 共感覚の発生原因
  • 論1
    共感覚は、実際は私たちが誰でも持っている正常な脳機能なのだが、その働きが意識に上る人が一握りしかいない。共感覚者は共感覚のとき、通常は意識に上らないプロセスが意識に剥き出しになるので、自分に共感覚があることを知るのだが、通常の人はそれを知らないだけである。
  • 論2
    新生児の脳は生後3ヶ月ほどまで皆、共感覚を有している。それは新生児の脳の五感は未分化であるためと考えられる。しかし、経年と共に次第に分化が進み、各感覚野をつなぐ経路は遮断され、共感覚を失う。しかし、共感覚者においては分化され遮断されるはずの経路が保持されることによって、共感覚を知覚し続けることになる。
  • 論3
    幻肢の理論である交差配線(クロス配線)を共感覚に応用したものである。交差配線とは、脳の隣接する部位間において混線が生じて起こる現象である。つまり、色と数字を処理する部位が隣接しているとき、その二つの間で混線が起こることで共感覚が生じるとしたものである。そして、それを発展させた交差活性化は、隣接していない離れた領域間でも起こりえるので、交差配線では起こりえない共感覚をも説明できるとしたものである。

  • 文献
  • リチャード・E・シドーウィック(山下篤子訳): 共感覚者の驚くべき日常.形を味わう人色を聴く人, 草思社(2002)
  • Patricia Lynne Duffy(石田 理恵訳): ねこは青、子ねこは黄緑 ― 共感覚者が自ら語る不思議な世界, 早川書房 (2002)
  • ジョン ハリソン(松尾 香弥子訳): 共感覚―もっとも奇妙な知覚世界 (2006)
  • V.S. ラマチャンドラン,サンドラ ブレイクスリー (山下 篤子訳): 脳のなかの幽霊 (1999)


















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